伊勢本って あ行だから何するにも最初の方だ。
でも、大体 安達とか青木とか あ から始まる名前の人が前にいた。
だけどこのクラスには不思議な事に安達さんも青木さんも相原さんもいない。
俺が一番初めに日直になった。
黒板を綺麗に消して
教室を掃除して
先生に日誌を持っていく。
嫌な事とか面倒な事って立て続けに回って来るもんだ。
「失礼します。」
さっさと日誌を出してさっさと家に帰ろう。
俺は近くにいた先生に
「これ、川崎先生に渡しといてください。」
半分強引に日誌を渡し、職員室を出た。
外からサッカー部の声がする。中からは吹奏楽部の楽器の音。
俺は部活に入らなかった。
こんな毎日に意味はあるのだろうか。
足元の石を蹴飛ばす。
カラオケBOX、牛丼屋、ゲームセンター。
あんなに行きたかった場所なのに いざ何もなくなると魅力を感じなくなるもんだ。
俺はなんとなく河原に足を運んだ。
夕焼けにきらきら輝く川をただなんとなく見ていた。
どれくらい見ていただろう?
水面が激しく揺らいだのに気づいた。
辺りを見渡すと
誰かが川の中に入っている。
ズボンをまくり上げ
袖口を濡らし、何かを拾い上げていた。
何を拾っていたのかは分からないけど
俺は夕日に染まったオレンジ色の髪の毛をただ ただみていた。