オーデコロン、ヘアトニック、シーブリーズ、マウスウォッシュ、煙草、リキュール…様々な体臭と上っ面のタワイモナイ会話の洪水に居たたまれなくなって
「…チョット失礼…」と吐き気を堪えながら席をたっていた
トイレの使い方の汚さを会場の諸君にみせてやりたいくらいに、ナッチャアイナ…不快感がピークになってすっかり帰るつもりで一歩でると、カウンターの隅にいる男と眼があってしまった。
暗い…久しぶりに己より深く沈み込む瞳をみたな‥
「ドゥモ…」何でか私は会釈をしてしまって(シマッタナァ。)と目線を下に向けた。
「やぁ‥あなたは、アッチの人間とは違うみたいだね‥僕はもう帰るつもりだったんだけれど…よかったら一杯ご一緒しましょうよ」
かなり酔っているんじゃなかろうかとおもうくらいに、フラリと立ち上がってあたしの腕をとった。ジンのキツい香がしたが、基本的には無臭な男だから、断らずにカウンターに座ってしまっていた
「ソルティードックください」
「畏まりました」
…………
時速200キロ以上は出てるんだろうか‥周りの景色が面白いくらいにぶっとんでる
「カッコさん!聴こえるかぁ?」
「うん!!風がね」
「ああ〜解るんだね!」
風にふかれて包まれて、アタシタチハひとつになっていた