「ねぇ、あなた」
「カヅキ」
「……え?」
「名前だよ。兎の場所の、歌うに月で、兎場歌月。君は?」
「何をいきなり」
「背中を預けあった仲だから。知っておきたいんだ、君の事」
それだけじゃないけど。
「で、なんであなたの名前を」
「ほら、相手に名前を聞くならまず自分からって言うでしょ」
「あなたの名前、前に聞いたんだけど」
「そこはほらノリで。てか、覚えててくれたんだねぇ」
思わず目尻が下がる。が、
「“次会ったら殺す”リストに登録しておいたから」
その一言で凍りついた。
「冗談、だよね?」
「さて、どうかしらね」
頼むから冗談って言ってください。
「ま、それはいいとして。君の名前教えてよ」
「どうしても言わなきゃ駄目なの?」
「教えてくれると助かる」
「じゃあ言わない」
「すみません教えて下さいお嬢様」
「……堀江由衣」
「だから」
「常盤貴子」
「君ね」
「小野妹子」
「それは男だ」
なんでこんなに名前隠したがるのかな。ストーキングでもすると思ってるんだろうか。思わず半目で少女を見ると、彼女は気まずそうに目を反らし、告げた。
「……樋泉、杏華」
「え?」
「木編に通るで樋、泉はそのまま。あとは杏の華。華は、難しい方ね。それで、樋泉杏華。これで、満足?」
「うん」
照れているのか何なのか、彼女……杏華は顔を背けたままだけど。それでも僕は手を伸ばし、笑いかけた。
「よろしく、杏華」
「…………よろしく、カヅキ」
手は伸ばされないまま、
「助けてくれて、ありがとね」
「どういたしまして、こちらこそ」
告げられた言葉に、僕は笑った。
Now,Chapter2 is the End...?
「ところで、立ち上がれないから手を貸してくれると助かるんだけど」
「え? その手ってそのため?」
「うん。他に何があるっていうの」
「……知らない。あなた、そのままそこで死になさい」
「だからカヅキだって……ってアレ? ねぇ、何処行くの? ちょ、ちょっと待ってよ、ねぇ!」
Yes.just now Ending Chapter2,and See you the Next Chapter「Unknowns」.
bye.