あの日、行かなければどうだったんだろう。
そんなこときっと…関係ないね。
恋はするものでなく落ちるもの。
あの日、私はそれを経験したんだ。
湖南はサークルでいつも使う店。広いし、安いし、大学に近い。マスターもうちの卒業生らしい。
サークルで飲むとみんな限界を知らない。
最初は会話が成り立つが途中からはうるさい。
でもそれが学生という感じがして嫌いじゃない。
声をかけたのは私からだ。
「あなた一年?」
「はぃ」
はにかんだ笑顔が素敵だと思った。
気が付けばちょっと酔っていた。
2件目に移るってなった時に帰ろうと思った。
沙笑は輪の真ん中にいたから後でメールすることにして私はさりげなく駅に向かった。
「先輩」
そう言って手をとられ驚いた。
「帰るんですか?」
「うん…ちょっとよったし」さっきのハニカミ王子。
「駅まで送ります」
「いいよ、近くなの」
私は大学の近くのマンションに一人暮らしだった。
「じゃぁ家の近くまで」
「大丈夫、ありがとう」
すると向こうからサークルのメンバーが彼を呼びにきた。私は彼が振り返っている間にその場をさった。
酒を飲むと誰かといたくなる。だから私はあえて一人になったのだ。