次の日、だるくて起きたらお昼だった。
幸いその日は昼から授業。
急いで大学に迎う。
通学途中カップルがチャリをニケツして後ろからきた。彼女を短大の前でおろすと彼は駐輪所に急いだ。
横顔だったけど…昨日のハニカミ王子に似ていた。
「彼女くらいいるよね」
何を期待してるんだと自分が恥ずかしくなった。
教室に入ると沙笑が手を振る。小さい子どもみたい。
「おはよう!玲」
「おはよう、何そのハイテンション?」
「玲、1年と消えたの?」
「何よそれ」
どうやら昨日の話が大きくなっているみたいだ。
授業が終わると私は逃げる様に教室を後にした。
私が逃げ込んだ先はピアノ室。小さい部屋だがアップライトのピアノが一台ずつあり完全防音。
端の部屋は窓があり、桜並木がキレイに見える。何十部屋とあるので見つかりにくい。
主に短大の幼児教育学科の生徒が使う部屋。
だけど小さい頃からピアノをしている私にとっても落ち着く場所だ。
いつもの様にピアノをひく。時間はあっという間に過ぎる。
いきなりドアが開いた。
「すいません、間違えました」
沙笑かと思えば、ハニカミ王子だった。
「あっ…」
「先輩」
「とりあえず入って」
「…はぃ」