ロストクロニクル3―1

五十嵐時  2008-10-14投稿
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ある少年が窓際の席に座りながら授業を受けていた。上の階では音楽の授業をしているのだろう、心地よい音色が流れて来る。周りは自分と同じ魔導師ばかりだ。
「じゃあ、続きを読んでちょうだい。フラット君」 ぼーっとしていたところに不意に先生の声が入ってきた。
「えっ?あっ、ああ、すいません」
慌てて教科書を開けるが、何処を見ればいいのか分からない。必死になって探している時に聞こえてきたのは・・・
「バーカ、何やってんだよ、フラット」
「お前は本当に何やっても駄目だなー」
「ぼーっとしてるから駄目なんだよ」
そんな言葉たちはいつも無視している。
「24ページよ」
突如、前の席からお節介な言葉が飛んできた。
「うるさいなー、わかってる」
急いで24ページを開けると先生の続きを読み始めた。
今日もやっと1日が終わった。放課後の通学路を通りながら考えていた。
後ろから数名の同級生の話し声が聞こえてきた時には、その考えは間違っていたと思った。
「よぉ〜フラット、ちょっと待てよ」
面倒臭い。フラットは走った。
「待てっつってんだろーが!」
数人の同級生が追いかけてきた。色々な曲がり角や路地を曲がって逃げたが、それでも追いかけてくる。
「待てー!」
なんとか建物の中へ飛び込んだ。
「おいっ!出て来い!裏切り者!炎魔導師のくせに!」
扉を叩きながら叫んでくる。しばらくすると、舌打ちと「明日覚えておけよ!」という捨て台詞と共に消えて行った。
「はぁ〜、助かった」
こんな生活いつまで続くんだ、そんなことを考えていると、扉の向こうからあのお節介な声だ。
「フラット?」
驚いたが返事はした。
「どうしてここにいるの?帰った方が良いよ」
「フラットが追いかけられてるの見て・・・」
「うるさいな」
「間違っても『炎の魔導石』を取りに行こうとしちゃ駄目よ」
意味深な言葉でフラットを諭した。
「それに知ってる?国王様が『不死鳥』を復活させようとしてるらしいわよ」
「無理に決まってるよ。そんなこと・・・」
「分からないわよ。もしかしたら・・・」
「それがどうしたの?」
「別に・・・世間話」
「そんな気分じゃないよ」
「そう・・・」
少女は小さく「お休みなさい」と言うと扉から離れた。



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