なんで部屋に入れたのかはわからない。
自分で作った現状に参ってしまう。
ピアノ室は普段一人で使用するし、いても沙笑ぐらいだから男の子を入れるとこんなにも狭い部屋なんだと実感した。
「ごめんね、なんか…」
「いや、こっちこそ…」
「さっきひいてた曲ひいて下さいよ」
いきなりのリクエスト。
「無理ならいいです」
「これかな?」
最近よくテレビCMで流れていたやつを耳コピしてひいてるだけだから題名とかわからないんだけど。
彼は窓側に立ち、景色をみながら聞いている。
弾き終わると拍手してくれた。ちょっと嬉しい。
「ありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
4限目が終わるチャイム。
「私、次は授業だからもういかなきゃ」
「そうなんですか…」
なんだか残念そうに言う。
「授業ないの?」
「休講でした」
「…そぅ、じゃぁゆっくりね」
私はカバンを持って部屋をでた。ちょっとだけ冷たかったかなぁ…なんて思ってしまう。さぼって欲しそうなのは感じた。
待ってよ、3つも下なのよ…何を期待してるんだろ。朝の子だって彼女よ。
なんだかイライラする。
学校が終わると携帯が鳴った。OBの小野優先輩からだ「今日、暇か?」
「まぁ…」