『‥今日は‥‥止めとこうか。』
そして――
優しく頭を撫でられた――
なんでよっっ――
どぉしてっっ――
『‥‥‥だっっ‥‥。』
『えっ?!何か言った?!』
『いやだっっ。』
思わず――
ボロボロ泣けてきた――
『今日は、あたし‥‥心に決めてたから‥‥‥。
聖人と‥‥聖人と‥‥‥そ‥‥そのっっ‥‥‥。』
やだ――
バカじゃんあたし――
これじゃあ、
せっかくの聖人のバースディが台無しだよっっ――
『クスッ‥‥ばーか。』
そう言われて――
頭をくしゃくしゃってされた――
『‥ふぇっ‥‥‥えっっ‥‥‥。』
自分でも――
何の涙なのか分からなかった――
ただ――
好きなヒトとひとつになるコトが――
こんなにも――
簡単じゃないってコトが――
そんな、
あたしのトラウマが――
もどかしくて、
じれったくて――
『聖人のバースディに‥‥って。
決めてたのに‥‥。』
『‥‥ぷっ。ムリすんなっっ。
俺‥‥体目当てで、奈央と付き合いたいって思ったワケじゃないからっっ。』
聖人は、
そう言って優しく笑った――
思わず、
また涙が溢れ出た――
『あのさっっ‥‥。』
『うん‥‥ヒックッッ。』
『実はさっっ。』
『うん‥‥ヒックッッ。』
『俺も‥‥初めてだからっっ。』
えっっ???
そ‥‥そぉなのっっ???
そう言われて、
直ぐにキスをされたから――
あたしは、
その後の言葉さえも返せなかった――
ねぇ聖人。
あたし――
あのトキのコト――
今でもハッキリ覚えているよ――
キスをされる瞬間――
あなたの顔が――
少しだけ、
赤かったのを――