華菜が私に気のせいだと何度も言い聞かせて慰める…。
でも、ずっと見てきたからわかる。
明らかに違う、雰囲気の二人。
「白井?具合い大丈夫なの?」
ビクっ!!
その声に体が反応する。
「あ、佐藤君。」
「うん、大丈夫…」
「そぅ?あんま無理しないでヤバかったら言えよ。送ってくから…」
佐藤が頭をポンと叩く…
でも、その前に手で止める。
「白井?」
佐藤がびっくりしてる。
「彼女出来たならその癖やめたほうがいいよ。誤解される。」
「え?」
佐藤の顔がみるみる赤くなって行く…
「な、なんで…?」
私はため息をついた。
「仕事サボってると店長に怒られるよ、さっきから睨んでる…」
「あ、後で連絡するから…」
そう言って佐藤は仕事に戻った。
「てか、連絡先教えた覚えないケド…」
呟く…
「真紀…」
華菜が心配そうに見てるのがわかった。
「遅いねー、ご飯☆久しぶりだよ、私、外食。華菜は?」
今更だけど心配させたくない…
「真紀、真紀の番だよ。気持ち言わないと…」
華菜は話をそらさず真っ直ぐな目で私を見る。
「彼女がいるのに…?私、もう傷付きたくない…。」
自分の弱さか…
泣きたい…
何も考えられない。
「言ったら傷つく?言わなかったら傷つかない?
どっちも痛い…
もし、その気持ちを捨ててしまえたなら楽だけど…
好きになって、後悔してるの?」
「…してない。いっぱい教わった事ある。」人の傷の痛みとか…
華菜はニコッと笑って「真紀に好きになられて悪い気持ちする人なんていないよ。
たとえ恋人になれなくても、自分の気持ちにケジメつけよ?
知って欲しくない?今までどんくらい佐藤君思ってたか…
ごめんね、強制みたいになっちゃった。
後は真紀が決めて…」
私達はちょっと遅れてきた夕飯を食べて、家路に着いた。
ふぅ、お風呂入ろ。
華菜が言った事わかってるよ。
私、決めたから…
「ビール飲も♪」
ゴキュ、ゴキュ。
「プハー、お風呂上がりのビールは美味しい☆」
…明日、なんて言おう。なんて切り出そう…
まず、愛さんの事ちゃんと聞いてぇ〜…
ブル
ブルルル…
携帯に電話だ。
「ん、華菜かな?
もぉしもし〜華菜〜?今日ありがとね。
私さ…」
「おす、俺だけど…
白井?」
佐藤?
「な、なんで?」
「帰り際、華菜ちゃんが教えてった…」
い、いつのまに?
「今から会えない?」