ロストクロニクル3―2

五十嵐時  2008-10-15投稿
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「そろそろ着く頃だと思うんだけどなー」
「もう少し先じゃないの?」
タクトたちがクォールマークを出発してから大体、半日が経っていた。
「村長さんは大体、半日で着くって言っていたのに」
ウェドが密かに右肩を押さえた。
「まだ肩が痛むの?」
「ああ、ちょっとな」
「無理無いわよ。たった2日しか休んでないんだもの」
タクトは一人考えていた。なぜ、あの時あんなボロボロの体であんなスピードを出せたのか。それにウェイトも何処に居るのか。全く分からない。それに『勇者の血』って一体何なんだ?老人の言っていた『忘れられた歴史』というのも気になる。
「それにしても近いわね。たったの半日なんて・・・あっ!あれかしら?」
パールが指差した先には細く、雲にも届きそうな高さの真っ白な塔が建っていた。
「凄い高さの塔だな!」
「うん」
「ねぇ、二人して上向いて口開けてたら馬鹿みたいよ」
そう言うと明るく笑いだした。
「えっ、ああ、気付かなかったよ」
そんな塔に見惚れていると、あっという間に村に着いてしまった、とはいえ、村に着いた時には既に夕暮れ時だった。 「南の方は良いわねー。全然ムシがいないわ」
「ここは南の方だからいないのは当然だよ」
「とりあえず、まずは何をしよう?」
「そうだな『学校』を探すか?探すというよりも見えているけどな」
ウェドの言う通り小高い丘の上に大きな木製の建物が見える。
「やったー。これで『勇者の血』の謎も『忘れられた歴史』の謎もそして、パールの背中の呪いも解決だ!」
「まだそうと決まった訳じゃないわよ」
パールはありがたさと嬉しさと沈着さを入り混ぜた雰囲気で諭す。
「とりあえず、あの木製の建物に向かおう!」
タクトが何故か三人の中で一番気合いを入れて叫んだ時だった。
「待てー!この裏切り者ー!」
前から三人くらいの叫び声が聞こえてきた。
「今日という今日は逃がさねぇぞ!」
「誰か追いかけられてるわ」
しばらくすると前から赤いローブで身を包んだタクトよりも年下らしい少年が走ってきた。そしてそのまま脇を通り過ぎて行った。
「追いかけている子供たちを捕まえて話を聞きましょう」
すぐに四人の少年たちが追いかけてきた。
「ちょっと待ちなさい!何してるの!」
少年たちはパールの前で立ち止まった。



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