「終戦」ではなく「冷戦」…つまりただの休戦にすぎなかった。
ほんの些細な事件が、戦争のきっかけをつくってしまった。
また、戦争が始まる。
だから……また。
「『紅き戦士』が必要なのだ」
え?だからといって…何故私が?
「彼らは今雪山の奥地にいる、という情報があったのだ」
はぁ…。
「そして、君が世界一の登山家であるからだ」
いや、もう世界一は私じゃありません。
「他の者は、今や50代。『紅き戦士』を探すほどの体力など残っていない」
だからといって…
「君しかいないと思っている」
そして、強引に話は進められていった。
…いや、断るすべはあったのかもしれない。
でも私は、止めなかった。
多分…山が、恋しかったから。
今だからこそ、そんな自分に気付く。
すべてを終えて、家庭の道に進んだはずだったのだが。…未練は残っていたようだ。