『私を愛する蓮華を私は…愛さない…絶対。私は…椿の傍にいる』
「──…………菫」
「ようやく…決心がついた?答えが出た…?」
蓮華の家に招かれた菫は、ソファに座り、蓮華と話す。
「──………ごめん。俺は…鞠花を愛してるんだ」
「…」
「鞠花も…俺を愛してる」
「えっ…」
「でも…鞠花を愛する俺を…鞠花は受け入れなかった。菫を裏切ったら許さないと言われた」
菫は、蓮華の言葉を静かに聞く。
「──……だから…俺は…お前と…」
「ふざけないで」
菫は毅然とした態度で蓮華と向かい合う。
「──……私…鞠花ちゃんと話たい。鞠花ちゃんは…?」
「彼氏の家…」
「……そう…場所を教えて…。蓮華…あなたは頭を冷やしなさい。冷静に話せるようになるまで…」
菫はそう言い、椿の家にいる鞠花に会いに行った。
蓮華は止めなかった。
「──……椿…お医者様なんて…?」
「安静に…だって」
「そう…」
世界にはお互いしかいないような、そんな穏やかでのどかな日々を送っている。
些細な事を言って、笑って椿と過ごす毎日を鞠花はとても、とても大切にしていた。
「鞠花さん…」
椿と話していると、家政婦が声を掛け鞠花を呼んだ。
「はい?」
「お客様です」
「私に…?分かりました」
鞠花が返事をすると、玄関まで向かう。
「あっ…」
「こんにちは、鞠花ちゃん…」
客と言われ、玄関まで来るとそこには菫がいた。
菫が挨拶をすると、少し話がある時間をもらえない?と聞いてきた。
菫の様子に何かを感じた鞠花は承諾すると、家のドアの外で話をする事になった。
「──……あのね」
「はい…」
「私…妊娠してなかったの」
「Σ!」
「…って言ったらあなたどうする…?」
「えっ…嘘ですか?」
「どうする?」
菫は妊娠を肯定も否定もせず、どうするかと聞く。
「───……どうもしません」
「蓮華を好きなのに?」
「…」
「蓮華に聞いたの。…妊娠は嘘だって言ったらどうする…?鞠花ちゃん…」
今更…
波風をたてて欲しく無い
鞠花は〈今〉は椿と静かに時間を過ごす事を強く望んでいた…
蓮華の事を忘れていたくらい…
今は椿と一緒にいたかった…