碧い空。白い雲。
蒼い海。白い波。
淡い風。そして…
「ぎも゛ぢわ゛る゛い゛〜」
「大丈夫?」
シーラに優しく声をかけられた雪は瞳に涙を溜めながらゆっくりと振り向いた。「ダイジョブじゃないですぅ〜」
それだけ言うとまた海に向き直り気分が悪そうにした。
「まさか雪が船酔いするとはなぁ…」
哀れとも言える雪を遠くで見ながらラウフが言う。
「ああ。オレも驚きだよ。で、あっちもあっちで忙しそうだし。」
ランスォールが目を向けた先には昨日の事が嘘のようにイチャつくリリーラとレンデルがいた。
結局、あの後二人は仲直りをし、しかも驚くべきことに二人は両想いだったこともあり、今朝からラブラブモード全開で見ているこっちが恥ずかしくなるくらいだ。
「あぁ…早くクラーンに着かないかなあ…」
ランスォールの目は明日の方角を、というかどこか遠くを見ている。
「うんうん。その気持ち、よぉ〜く分かるぞランス」ランスォールは溜め息をつく。
「ったく、どこまでわかってるんだか。」
それから数時間、退屈で悪夢のような航海を続けた。「「よぉーやく着いたぁ」」
雪とランスォールは倒れるように港に降りた。
相変わらずリリーラとレンデルはイチャついていたが気にせず、というか無視してシーラとラウフも船を降りた。
「ここが…伝説を紡ぐ島…」