『‥‥初めてじゃ‥‥ないし‥‥‥。』
多分――
聖人は知ってる――
そんなコト、
ずっと前から――
『初めて‥‥だろ?!』
そんな目をして見ないでよ‥‥‥。
『違うよ。聖人だって知ってるじゃん。
あたしが小6で‥‥んんっっ‥‥‥。』
あたしが、そう言いかけたトキ、
聖人が手で、あたしの口をふさいだ。
『言わなくていいぜ。それ以上は。』
どうして?!
それって――
現実逃避?!
『奈央は、今まで小6のトキの事故以外に、セックスしたコトあんの?!』
聖人の目が、逸らされるコト無く、
あたしの瞳に映っている――
クールな、その目は何時になく真剣そのものだった――
『ないよっっ。あるわけないじゃん。』
何でそんなコト聞くのよ。
そんなコト‥‥。
『じゃあ、奈央も初めてってコトじゃんっっ。』
優しく微笑まれた――
『あたしが?!』
思わず聞き返す――
『そう。初めてのトキは、好きなヒトとするものだろ?!』
ポンッ――
優しく頭を撫でられた――
『‥‥‥ひっ‥‥っっ‥‥‥。』
『奈央の処女は、俺がいただきぃ〜〜♪』
『ば‥‥ばかっっ!!‥‥ヒック‥‥‥。』
――へんなの‥‥――
『ばかぁ?!ばかはねぇだろ、ばかはっっ!!』
――また涙が出そうになるから――
『じゃあ、今の取り消すっっ!!』
――思わずひねくれてみた――
『取り消すだけじゃダメだぜっっ!!』
――ホントはそんなのどうでもよくて――
『じゃあどうすればいいの?!』
――あなたとずっと一緒にいられたら――
『‥‥‥‥‥。』
あたしは、ずっと幸せです――
『聖人‥‥‥?!』
『‥‥‥‥‥。』
いつか――
『怒ってるの?!』
『‥‥‥‥‥。』
ひとつになれる日まで――
『泣いてるの?!』
『な‥‥泣くかっっ。』
その日まで待っていてください――
大好きだよ‥‥‥
聖人‥‥‥‥‥。