「捨て駒…か。ルークよ、お主ならフードの人物を含めたこの三人をどう扱う?」
リグラは朝に煎れてすっかり冷めてしまった紅茶を飲みながら、ちらりとルークを見て、尋ねた。
「…そうですね…。まず、もうロザラムは用済みですから、そのまま捨て置くか、あるいは…」
ルークは顔を歪めながら、一つ言葉を切って、
「…口封じの為、暗殺するか…でしょうね」
と、大きく息を吐きながら、言った。
「まあ、そうじゃろうな…」
リグラはぽりぽりと頭を掻きながら、冷めた紅茶を飲み干した。
「しかし、そうはなるまい。今夜、ロザラムを拘束する事になっておるからの。ラト殿が今夜エリグラム砦へ…」
そう言った瞬間、リグラは大きく目を見開いて、椅子から立ち上がった。
「…奴らが次に標的とする場所は…砦ではないか?」「…確かに。ロザラムの暗殺と、軍の交戦主張を勢いづかせる事の両方が可能になりますからね。ですが、リスクが高すぎませんか?砦には少なくとも五十人以上の騎士がいますし、いくら強いソードメーカーといっても、狭い通路での戦闘は不利では…」
「うむ。しかし、例え失敗したとしても、グラムは元々犯罪者じゃ。陰謀がばれる心配は無い」