狭い廊下の奥に、階段があり、そこを上ると、ジュードの部屋があった。
「ジュード、客だよ。」
女はドアを開けた。
「ノックしろっていつも言ってんだろ!」
不機嫌にタバコをくわえたジュードが振り向いた。
「あの・・・なんかすんません。」
予想もしていなかった空気にウィルはたじろぐ。
「って、あんた!!たしか俺が火事で救出した警官の・・・!」
救出したというよりは、偶然発見したと言うほうが正しいだろう。ジュードは逃げ腰でおどおどしていただけなのだから。
「あの、その件でジュードさんにお礼を言いたいと思って・・・」
ジュードは笑顔でタバコを灰皿に押しつけた。
「“さん”なんてつけなくていいって!見たところ、同じくらいの歳っぽいし!ジュードでいいって!なあ、・・・・名前なんての?」
「ウィル・フォード。よろしく。」
「ジュード・マイヤーだ。よろしく。」
二人は笑顔で握手した。
ウィルはジュードの部屋を改めて見回す。
絵の具、パレット、画用紙、名前のわからない画材道具・・・
「絵、描いてんの?」
「ん。まあね。ほら、ウィルが来るまでこれ描いてた。」
ジュードは一枚の絵をとりだした。