幸せのかたち?

藤堂尚也  2008-10-18投稿
閲覧数[111] 良い投票[0] 悪い投票[0]

綾香と会ったのは去年の夏。

連日30度を越える暑さにぶつぶつ文句を言いながら歩き、蝉の鳴き声が更に暑さを増す。

少しでも暑さを回避するために日陰を選びながら役者勉強のため養成所に向かう途中、友達と合流しながら養成所までの道程を、皆思い思い話をしている。

そんなある日の養成所で彼女と出会った。

先生が入って来て、続いて女の子が二人入って来る。

歳の頃なら二十歳前後、白いTシャツに黒のジャージ、明るめの茶髪で耳までの長さに、笑顔が爽やかな印象を与える女の子。

もう一人も歳の頃なら二十歳ぐらいで、同じく白いTシャツに黒のジャージ、赤みがかった髪に肩までの長さ、大人しそうな感じの女の子。

それが「泉綾香」の第一印象だった。

自己紹介から始まった授業も終わり、飲みに行くってのが恒例。

そして今日は新入生二人の歓迎会も兼ねていつもの居酒屋へ。

総勢10名をいつもの店員さんが出迎えてくれて、個室に案内してくれる。

一通り注文を終え、無秩序な話が飛び交う中、店員の登場で静かになる。

飲み物を配り終え、

「二人を歓迎して、乾杯!」

『かんぱーい!』

一斉にグラス音が響き、話題は一気に新入生二人へ集中し、収拾がつかないので、。

「じゃーもう一度自己紹介しよっか。泉さん達もまだ顔と名前が一致しないだろうからさ。」

少し照れ気味な二人を見てそう言うと、一番手に木村を指名し時計回りで進んで行く。

自己紹介に横槍を入れながら、どんどん進んで行く。

次は俺か。

「吉田透です。
趣味は旅行に映画にお酒。
よろしくね!」

簡潔に自己紹介を済ませた俺は、

「最後よろしくね!」

意地悪げに言って笑う。

困ったように周囲を見ながら、

「泉綾香です。
24歳。
趣味は映画と読者。
よろしくお願いします。」

俺を見て、

「最後がこんな私で…」

おや、この感じは…

「本当に済まないと思う。」

物真似に一同、大爆笑!

一気に騒々しくなる。

俺は笑みを浮かべる彼女にグラスを当て、

「100点の物真似に乾杯!!」

白々しく目線を逸らす俺を覗き込み、意地悪げに微笑む。

−これが綾香との出会いだった−



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 藤堂尚也 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ