都会のカラスがうるさかった。
僕は夢から醒めてしまったのでした。
これほどまで切ない朝は今までにありませんでした。
今すぐに眠って、また君に会いに行こうとも考えました。
けれど朝の日差しが僕の寝ぼけを醒ますと、僕はこの夢の続きを見たいとは思わなくなりました。
夢の中でしか会えないのは悲しく思えたのでした。
僕は君の顔を思い出せませんでした。
けれどいつか必ず、このうつつの世界でまた君に巡り逢える気がしました。
今日も僕は遠い空を見て、一日を始めようとしていました。
いつもと何も変わらない。
夢のことはやはり夢のことでした。
今後君のことを誰かに語ることはないだろう。
けれど間違いなく僕は、夢の中で君に出会い、今日の日の光よりも煌めいた君に、恋をしてしまったのでした。