「あっちゃんを裏切っちゃったから･･･｡」
もう―＼r
自分自身の言ってる事が､分からなくなっていた｡淳の幸せを考えている自分と話して楽になりたい自分が混在している私の心は､張り裂けてしまいそうだった｡
「裏切った?何だよ､それ｡」
「好きな人が居るって言ったでしょ?その人とね･･･｡」
「その人と?何･･･?」
「初めて､あげたの･･･｡」
「それって､俺と付き合ってる時でしょ?浮気って事だよな･･･｡」
淳は､怒りを抑えて､震えている様に見えた｡
「私､あっちゃんの思ってる様な女の子じゃ無いの･･･｡」
何を言ってるんだ―＼r
どっち付かずの発言･･･｡
言った直ぐ後に､自分の愚かさを責めた｡不意に､口から出た嘘も､最低だった｡
「良かった､本当の事､話してくれて･･･｡香里が､そんな女だとは思わなかったよ･･･｡お前の事､良い思い出に出来そうだわ､ﾏｼﾞで｡」
嘘を付いて､強がる振りをした方が楽になれる―＼r
とっさにそう考えた｡淳は､私が軽い女性だとは思っていなかった｡淳に軽蔑され､嫌われたら､気持ちに諦めが付いて､本当の親友に戻れる気がした｡
「軽蔑した?私の事｡」
「恋人だった時だったら､本気で軽蔑しただろうな｡今は､友達なんだし､ｱﾘなんじゃ無いか?って感じだよ｡」
半分､呆れている様にも見えた｡淳は､私と一切､目を合わそうとはしなかった｡それは､まさに軽蔑していると言う事実だった｡
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