「ごめんなさい」
少年たちはパールの前に止まると手のひらを返した様にペコペコと頭を下げた。
「どうして追い掛けてたの?」
パールも年下にここまで謝られると、さすがに優しい口調になって聞いた。
「実は僕たちの杖をあいつが隠したんです」
少年たちは物悲しそうに言った。
「そう、じゃあ今度からは気を付けてね」
「はい。ごめんなさい」
少年たちは踵を返しすと走って帰って行った。
「意外と話せば分かる子供たちだったな」
「そんなことより、早く『学校』へ行こう」
近くで見てみても『学校』は大きな木造の建物だ。屋上には大きなベルが付いている。そして今、目の前には『学校』の玄関らしき門がある。
「勝手に入っても良いかしら?」
「良いだろ」
「とにかく入ってみよう」
すると、ウェドは無造作にその門に手を掛けると、大きな音を立てながら開け始めた。
「ね、ねぇ、ちょっと」
パールが焦っているのにも関わらずウェドは門を開けていく。
「よし、開いたぞ」
「入ってみよう」
タクトとウェドは門の中に勝手に入って行く」
「パールも早く」
タクトが手招きする。
「勝手に入って良いの?」
「大丈夫さ。中に入って事情を説明すればいいんだ」
「おーい、誰か居ないかー?」
ウェドは一人校舎に近づいて叫んだ。
「ほら、ウェドなんか叫んで誰か呼んでる。それに、その背中の傷を治さないと」
「誰ですか?こんな時間に学校に来る人は!」
校舎の中から眼鏡を掛けた、小太りの女性が出てきた。
「忘れものなら・・・」
どうやら生徒ではないことに気付いたようだ。
「どちら様ですか?どういうご用件ですか?見たところ『リコード』の方ではないようですね」
とても早口で聞き取り辛かった。
「こんにちは!」
「こんにちは」
タクトとパールがやって来た。
「どういうことですか?どうして三人も居るんですか?何が目的ですか?」
「ちょっとは落ち着けよ」
なぜかパニックに陥る女性に嫌気が指したウェドが言った。
「なんていうこと!なんて乱暴な子なの!」
どうやら逆に女性の火に油をさしたらしい。
「あのーぼくたちは聞きたいことがあって来たんですけど・・・」
タクトはもう話していても時間の無駄だと思った。
「もう行こう」
タクトは呆れ顔で校舎に入っていった。