輪廻

ケィ。  2008-10-19投稿
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「生まれ変わったら何になりたい?」
「そうだな…」

ユキが俺の腕の中で、上目使いに答えを待っている。

「またユキの彼氏になりたい」

ユキは嬉しそうだったが、ワザとむくれて見せる。

「もー、適当なんだから。マジメに答えて。」
「マジ、マジ」

俺はご機嫌取りにユキのオデコにキスをひとつ。
こーゆーのバカップルって言うんだろうな、とどっか妙に冷めた気持ちで。

しかしながらこの世には『クウキ』ってヤツが有り、それを外すと酷く息苦しい。

よって俺は生まれてこのかたずっと、周りと呼吸を合わせて生きて来た。

お陰でカワイイ彼女も出来た。

彼女の唇が求めてる事がわかったので、俺はまたキスをした。

「泊まっていけばいいのに」
「ダ〜メ。朝一でバイト有るし」

ユキはスネて見せる。本気で引き留めようってんじゃなくて、俺を困らせたいだけ。
ホントカワイイ。ユキ。

「明日の晩も来るから。今日より一本早い電車で来る!」
「嬉しい!じゃあ約束!」


ユキのマンションは住宅地にあり、入口はオートロック、住民以外入れない。

だから入口にソイツが立っているのを見た時から、嫌な感じはしていた。
仕事上がりのOLって感じで髪が長く、うつ向き加減。まるでホラー映画の女の幽霊。

俺は気味が悪くなり、足早にそこを離れた。

電灯がまばらな路地で俺は足音が二つ響いてる事に気づく。
俺のスニーカーと、ハイヒールを履いた誰か。

俺の脳裏にさっきの女の姿が浮かんだ。

(んなバカな、あんな奴知らねーし)

俺は自分の想像を否定しながらも歩みを速める。

ザッ ザッ ザッ

カッ カッ カッ

ついてくる。ぴったりと。

ザッザッザッザッザッ

カッカッカッカッカッ

俺はとうとう走り出した。とてもハイヒールで追い付ける速さではない、ハズ――

(振り切れない!?)

俺は思わず振り返った。その瞬間、世にもおぞましい光景が目に飛込んで来た。

ソイツは汗と涎を垂らしながら叫んだ。

「嘘つき!!
ずっと一緒って言ったじゃない!前世でそう言ったじゃないの!」

そのオッサンはハイヒールを履き、スカートをたくし上げながら物凄いスピードで追って来た。
俺は大声をあげ全力で走った。



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