朝だ。ゆうべ降り続けていた雨はとうに止んでいた。
リリィが目を覚ました時には既にマーチの姿はなかった。いつの間にかタオルケットを掛けてくれていた。
バッグを持って外に出る。空気は湿気を含んでいる。昨日の雷鳴が嘘のように、辺りは静閑としている。
酒場や商店街の向こうから来る。ではその逆方面に向かえば良いことだ。
逆方面に向かう途中、人が酒場の方に向かっていくのを見かけた。どうやらやって来るのを見に行くらしい。
早く街から出なきゃね、お父様が来る前に。
リリィが歩き始めたまさにその時、市長と警察が広場にやって来た。車から出てきた彼等を見た住人達はごくりと息を飲んだ。
まもなく多くの警官達は動き出した。
ココは勿論捜査の対象となったが、人々の中にヒオやマーチの姿はなかった。