始めのうちは大人しかった怪獣は、警官を一人また一人と掴んでは飲み込んでいった。その姿に市長や警官、野次馬までもが悲鳴を上げた。
とうとう怪獣は暴走し始め、誰かれ構わずドロドロの口に放り込んでいった。
市長は命がけで怪獣の手から逃げた。人間だけでなくパトカーも飲み込んだ怪獣はどんどん巨大化していく。
摩天楼のように巨大になった怪獣の体は重さに耐えきれずに倒れ、数個の塊に分裂した。嫌な声が聴こえる。リリィは鳥肌が立った。
マーチがしたいことってこれ?
嫌な予感がする。
心配は頂点に達し、彼女は来た道を走って戻った。
向かう途中、人々が怪獣に飲まれるのを見た。
通りにやって来たが、逃げ惑う人々がいた。
「タビト、どこにいるの?居るなら返事して!」
リリィの声は悲鳴に掻き消された。足が震えた。そうしているとジンザの仲間の一人がやって来た。
「まだ出てなかったのか。こいつのいた広場の地下にジンザやヒオがいたから、きっと一緒に居たはず」
しかしジンザもヒオもココでさえ、どこにいるのか分からないようなぐちゃぐちゃな状態だった。