『絵本作家?!俺、てっきり“画家”とか言うのかと思った。』
『あはは。無理だよ、画家なんて。あたしの絵なんて自己流だし。まるで落書きみたいだし。』
謙遜している訳じゃなかった。
本当に、
そう思っていたから。
『そんな風に言うなよ。』
『えっっ?!』
『そんな風に自分を卑下するの、やめろよ。奈央の悪いクセだぜ。自分のコト、そうやって悪く言うトコ。』
聖人に言われてハッとした。
あたしを見るその目が、
いつもと違って見えた。
『‥‥うん。そうだね。あたし、ずっと今まで、自分がポジティブな性格だと思っていたケド、本当は違うのかもね。
自分で自分のコト、全然分かってないんだ。
バカだよね、あたし。』
『‥‥なれるっっ!!』
『えっっ?!』
『奈央は絵本作家になれる!!』
『聖人‥‥‥。』
『夢は、きっと叶うって信じるんだ。
強く信じるんだ。』
びっくりした――
あなたの突然の言葉に――
『ありがとう。聖人に言われたら、本当にそう思えてくる。
夢が‥‥きっと叶うって。』
『もしも、お前が自分で夢を叶えられなかったら‥‥そのトキは、俺が夢を叶えてあげる。』
『えぇっっ?!聖人ってば、魔法使いになっちゃうの?!』
『ハハハ。夢の内容は違ってしまうケド‥‥な。』
『えっっ?!どぉいうコト?!』
一瞬、聖人が何を言いたいのか分からなくて、
あたしは戸惑ってしまった。
『だって、夢って必ずしもひとつじゃないだろ?!』
『う‥‥ん。広い意味で言ったら、いっぱいあるかも‥‥ね。あはっ‥欲張り過ぎかな。』
『じゃあさ、2人の夢ってコトならいいじゃん?!』
―2人の夢?!――
『俺は――』
聖人は何かを言いかけたケド、
『いや、今はまだ言わない。』
直ぐにやめてしまった。
あの後に続く言葉は、
何だったのかな――
ありがとう聖人。
あたし、
夢を見てていいかな?!――
本当は心の中の、
あなたの中の、
夢が叶えられるコトを信じて――