久しぶりに飾らず人と話した気がする。
亮太はちょっとへこんだ。
「いいのかよ…このままで」そうつぶやいた。
「だから言ってるじゃない…どっちでもいいよって」
私はちょっと苛立った。
夕日が窓ごしに教室をオレンジ色に染める。
「お前って人を信じないな」唐突に言われた一言に胸が痛かった。
私は…
「信じている人は信じる」
「えっ?…」
亮太が顔をあげた。
「でも信じて裏切られるのはすごく嫌」
自分でもなんでそんなことを亮太に言ってたのかはわからない。
「なら…俺を信じてよ?」
「えっ…?」
いつになく亮太の顔は真剣で一心に私を見ていた。
「絶対裏切らないから」
強い瞳だった。
「俺はみんなで文化祭がしたい。だから明日みんなに話す。あいつらを信じたいから」
私は何も言えなかった。
「俺はお前を信じてる」
信じてる…彼以外に初めて言われた一言だった。
「わかった…明日話そう」
「やったぁ―」
亮太がガッツポーズして叫んだ。私は笑顔になった。
「さっ、準備しますかっ」
私言うと亮太は
「あぁ」
と力強く頷いた。
その夜は家に帰っても今日の亮太の目が忘れられなかった。信じてみようかな…不思議とそう思った。