ハーフムーン

 2008-10-20投稿
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ミユキは彼を待っていた。

夜11時の交差点。

スクランブルの信号は、さっきからずっと青と赤を交互に繰り返している。

交差点を渡る人たちは、みな規則正しく、この街のエキストラを見事に演じ切り、それぞれの帰途につく。

そしてミユキだけが、まるで風俗の立て看板のように、あたかも前世紀からそこに立っているかのように、そこだけ時間が止まっていた。

やがて風が吹き始め、ミユキの短いスカートが大きく揺れた。

酔っ払いのサラリーマンが意味不明な言葉で話し掛ける。

ミユキは答えない。

彼を待ち続けた。

午前2時。街の灯かりが残り少なくなった頃、一人の客引きの男性が、スクランブルの反対側からミユキに向かって歩いて来た。

そして青信号の点滅が、赤に変わるのと同時に、男はミユキの前で立ち止まる。

「アナタがお探しなのは、きっとコレですよ。」
男は言った。

そう言ってミユキに差し出したのは、ポケットティッシュだった。

男はポケットティッシュを手渡すと、片方だけ笑みを浮かべ、そのまま通り沿いに消えていった。

ミユキはポケットティッシュを見つめ、裏返す。

そこには、こんなことが書かれてあった。


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