彼は寝ぼけていたが意識がはっきりすると目をパチパチとさせ辺りを見渡す。
「えっ…俺…」
「風邪…ひくわよ」
「はぃ…」
「じゃぁ」
私が立ち去ろうとすると
「先輩っ」
彼が呼び止めた。立ち止まり振り替えると
「ご飯行きませんか?」
「えっ?」
満面の笑みで言うから私は思わずうなづいた。
「なんか誘っといてこんなとこですいません」
「なんで?好きよ、うどん」結局私達は大学の近くのうどん屋さんにいる。
ここは安くて学生の味方。私も沙笑とたまにくる。
「先輩と俺って縁がありますよね」
嬉しそうにうどんを食べている猛の姿は犬っぽい。
可愛いい…なんて気持ちを悟られない様に私は
「そうかな?」
気のないセリフでかわす。「そうですよ!!」
でも相手には全然通用しないみたい。
「先輩って図書館似合いますよね」
「初めて言われた」
どんなイメージなんだ?
「俺もあそこ大好きなんですよ」
「そうなの?意外」
猛は中より外のイメージ。太陽がよく似合うから。
太陽の光に髪がキラキラ輝いてきれいだし。
「古い本が好きなんです」
「ますます意外」
「家も図書館並みに古い本でうめつくされてます」
「どんな家よ」
思わず笑うと彼は嬉しそうに目を細めた。