今日は食数が多くて忙しい。半額のキャンペーンもある為、作業場は悪戦苦闘していた。
学生アルバイトの松本恵理は後片付けをしていた。
「ちょっと、松本さん!」
またかと振り向けば新開夏子がいた。
「はい、何でしょうか新開さん?」
「これ、ゴボウが少ないんだけど…ちゃんとグラムはかったの!?」
「あっ…すみませんでした」
「すみませんでしたじゃないわよ!ちゃんと、仕事に集中しなさいよね若いくせに」
「以後気を付けます…」
「あなた大学生よね?よく大学にいけたものだわ………本当にだらしないわねぇ」
「すみませんでした……」
(また、やってしまった…)
恵理は大きくため息をついた。
「由美子〜!」今にも泣きそうな表情で恵理は由美子の腕にしがみついた。
「恵理どうした?あのオバサンまた何か言ってんの?」
「また、新開さんに怒られちゃった………………」
「あ〜あヨシヨシあんまり気にしちゃダメだよ。あんなオバサン仕事さえ出来れば何も言ってこないと思うから…だいたい恵理はトロい所があるからあんなウザイのにも目ぇつけられやす………ん?」
恵理が人差し指で口を押さえ小声で言った。
(シー!新開さんこっちみてる………)
由美子は新開の方に目をやった。 すると新開は更に眉間に皺をたててこちらを睨み付けていた。
「ゲッ…」 まずいと思った由美子は会話をやめた。
「あら、若いお二人さん!まだいたの?」声をかけたのは係長だった。
「あっ…係長お疲れさまです」
「お疲れ…もう、掃除も済んだようだしアルバイトさん達あがっていいよ」
「わかりました。じゃあ、お先に失礼します。」
学生アルバイトはパートさんより一足先に退出する事になっている。
ふたりはタイムカードをおして早く退出した。