ハーフムーン ?

 2008-10-21投稿
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ポケットティッシュには、『ショウはもうここを離れています ―スナック メラミン―』そして、スナックの電話番号だけが記されていた。

ショウは彼の名だった。

ミユキはしばらくティッシュを見つめた後、おもむろに携帯電話を取り出し、そこに記されていた電話番号に発信した。


5回呼び出し音が鳴った後、男が出た。

「はい――スナック メラミンですが」
聞いたことの無い、低い男の声だった。


「…もしもし」
ミユキは消え入りそうな声で、男に話し掛けた。

「ショウを知っているんですか?」
ミユキが尋ねる。

「………」
男は答えない。

「ショウは、この街には居ないんですか?」

「…ああ。」
男は、ため息混じりにそう答えた。

「アナタは誰?」
ミユキが再び尋ねる。

「単なるスナックのマスターさ。気になるなら、おいで。今なら客は誰も居ないよ。タバコ屋の角のところさ。」
男はそう言うと、一方的に電話を切った。

電話を切った後、ミユキは、吸い込まれるようにゆっくりと、スナックのある方に歩いていった。

そして、タバコ屋の角のすぐ傍にある、暗くて細い地下へと続く階段の下に、その店はあった。

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