「フィオナさんは、どこから来たの?旅してまわってるったって、ずーっとじゃないでしょ?」
ウィルは話を切り替えた。今は、赤の他人のフィオナとまで、あの悲劇を語りたくはない。
「あはは。そうですね。放浪を始めたのは、私が10歳の時ですね。その時にロザントンタウンを出て・・・」
「ロザントン?!」
ウィルは目の色を変えてフィオナを見た。
フィオナの方は、さっきまでうつろだったウィルが突然目線をあわせてきたので、どきっとした。
「ロザントンって、フィオナさん、あの街の出身者!?」
「って、ことはウィルさんも?!」
「まさかこんなとこで同士にあえるなんて!」
ウィルは子供のように喜んだ。
「同士・・・ですか?」
「ロザントンの住人は、みんなあの事件の被害者だろ?君だって、生きてるってことはノイザーなんだろ?」
フィオナはきょとんとした。
「ノイザーって、なんですか?」
その答えにウィルは唖然とした。
「は?だってロザントン出身者って・・・・」
「そうですけど、ノイザーって?」
「待って、街を出たのはいつ?」
「八年前です。」
「じゃああの事件は体験してるはずだ・・・」
ウィルは考え込んだ。