でも、桜は約束を守れなかった。
指切りしたのにーー
『聖人。もう泣くんじゃない。男の子だろ?!聖人がそんなにメソメソしていたら、桜ちゃんだって心配で天国へ行けなくなっちゃうんだよ。』
『‥ヒック‥‥。お父さん。どうして僕の好きな人は直ぐ死んじゃうの?!
お母さんだって‥‥。ヒック‥‥。
お父さんも‥‥僕を置いて死んじゃうの?!』
『聖人‥‥‥。』
僕があんまり泣きやまないから、
お父さんは、僕を抱きしめてくれた。
『お父さんは死なないよ。聖人ひとりを残して、お父さんは死なないから。
だから、聖人も強くなるんだ。
男の子は強くならなくちゃ駄目なんだよ。』
『うん。分かった。僕、もう泣かない。強くなる。だから、お母さんも桜も、天国で笑っていてくれるかな。』
『聖人‥‥。うん、そうだね‥‥。
お母さんも桜ちゃんも、聖人がいつも元気で強い子になってくれたら、
きっと喜んでくれると思うよ。』
お父さんは、そう言いながら、泣いていた。
僕には、お父さんがどうして泣いているのか、分からなかったけど、
多分、お父さんも、お母さんの事を思い出して、悲しくなったのだと思った。