そう…俺はあの時、確かに死んだ…ひょっとしたらそう思っただけなのかもしれない。
俺はあの黒いストライカーを一目見た時、死を悟った。
そして奴の攻撃で圧死した。
そう思ったんだが…。
目が覚めて時には病院のベッドの上だった。
起き上がると同時に金髪の青年が入って来たの覚えている。
名前は忘れてたがそいつは軍に所属し階級は大佐だそうだ。
マクシミリアン「…??そんな偉そうな方がこんな日雇いパイロットに何のようだ?」
その青年は俺にこう言った。
『貴方にはまだやって貰う事がある…。この変わり行く世界を見届け、必要があれば正す存在…。』
それだけ告げてその青年は立ち去った。
そういえば部屋を出る際、
『機体の元々の頑丈さに感謝するんだな…』
その言葉も覚えている。
どうやら武双龍焔獄のロストテクノロジーじみた所に救われたみたいだ。
正直、この“貰いモノ”機体の能力には解らない点が多々ある。
なんでザクセンみたいな臆病者にこんな機体を与えたのかも謎だ。
まぁ、そんなことはどうでもいい…。
−−−
ディア=パノスの胴体部分を抱えた武双龍焔獄は炎が燃え盛る戦闘区域を離脱し今もなお戦い続けている本部防衛隊の陣地後方に着地した。
マクシミリアン「もうすぐで救助隊が到着する手筈になっている。しばらくはしっかり養生するんだな?」
マクシミリアンは通信越しに気を失ったままの龍雅に一声かけた。
武双龍焔獄はディア=パノスを地面に横たえると再び先程の戦闘区域へと戻るため飛び立った。
マクシミリアン「このまま引き下がってくれると楽なのだがな…」
マクシミリアンの眼下には渓谷を縫うかのように蠍型グルドの大群が本部に向かう姿があった。
マクシミリアン「(恐らくは革命教団が仕向けたグルドの大群…)これだけのスティングア−の大群相手だとさすがの本部防衛隊も厳しいな。俺が先に数を減らした方が良さそうだな…」
武双龍焔獄は蠍型グルド『スティングアー』の群れの中に身を投じた。