夜のコンビニには昼間より変わった人も来る。
常連らしいホームレスはじろじろと恭平を見て、
「いつもの兄ちゃんどうしたんだ?」
と聞いて来た。
「辞めましたよ」
そう答えるとちょっと残念そうな顔をした。
そういえば安藤、おもしろい事いってたっけ。
「徳さん…?」
ホームレスはピクリと身体を動かし恭平を見る。
「聞いとるのか?」
「少しだけ。今、裏に回りますから」
他の店員に聞こえない様小声で話す。ホームレスは黙って頷いた。
裏口に賞味期限の切れた弁当を持って回ると徳さんは嬉しそうに受け取り代わりにと言って乾燥大麻をよこした。
「これ…?」
徳さんはニヤリと笑った。
「テントで栽培してんだ。趣味でな。前の兄ちゃんも受け取ってくれたよ。ギブアンドテイクってやつさ」
じやあなと手を振って徳さんは消えていった。
店に戻るとアルバイトの池上君が暇そうに売り物の新聞を開いていた。
「また銀行と保険会社が倒産ですよ。失業者増えますね」
店には若いカップルが一組と店の前には明かりが恋しいのかストリートチルドレンがたむろっていた。
「あいつらっていつもいるの?」
恭平は外の子供達を指した。
「あぁ、いますよ。邪魔なんですけどね。だんだん人数も増えてきてるし。あ、期限切れの弁当とかやると中まではいって大変だから止めてくださいよ」
見るとまだ小学校前に見える小さな子供もいる。
「親ってどうしてんのかな」
恭平の問いに池上君は興味なさそうに
「さぁ?みんな自分の事だけで一杯なんじゃないんですか?以外と自分から家出してる子供も多いって話ですし」
カップルはうろうろして弁当とおにぎりを買って出ていった。
次にやって来たのは制服を着た女子高生。
おいおい。今、深夜2時だぞ。何してんだ?こんな時間まで?制服姿?
女子高生は携帯をいじりながら店の中を物色している。
外に車が来ると女子高生は何も買わずに外にでて車に乗り込む。
「援交ですよ。あの娘常連でね。今の時間だと三人目かな。珍しくないですよ」
池上君は新聞を綺麗にたたみ直しながら教えてくれた。
「ここだけの話。彼女、もう四年は制服着てるんですよ」