ロストクロニクル3―5

五十嵐時  2008-10-22投稿
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「早速なんですがお聞きしたいことがあるんですが」
タクトが老若男女全てを兼ね備えた校長に聞いた。
「あ、ああ、忘れとったわい。なんだ?」
そういうとその人物も椅子に腰掛けた。
「なんでも聞いてちょうだい」
タクトは迷った。ずっと聞きたかったことも本人を前にすると緊張して、なかなか口に出せない。
何から聞こう。呪いのことか『勇者の血』かそれとも『木彫りの不死鳥』のことか・・・
「それじゃあ、とりあえず『勇者の血』というのをご存知ですか?」
聞いたのはタクトではなくパールだった。
「ええ、もちろん・・・あっ、そっか、君たちは魔導師ではないから知らないのかもな。仕方ない教えてやろうかの・・・百五十年前のルパスとパラスの戦争の話を」
「ちょっと待てよ!何言ってるんだよ!ルパスとパラスの戦争なんて、ずっと昔の太古の昔の話だろ」
ウェドは身を乗り出して問い質した。
「うん、確かにね。でも、神が大河で大国をルパスとパラスに分けた後にもう一度戦争があったのよ」
「それはもしかして、人々の記憶から忘れ去られた影の歴史『ロストクロニクル』のことですか!」
パールが興奮を隠しきれず聞いた。
「なるほど、お前たちの間ではそう呼ばれているのか」
「いえ、そういう訳ではありませんが小さい頃に聞いたことがありました。この国に隠された歴史があると」
「俺はそんなこと聞いたことが無い」
「ぼくも無い」
タクトはそう言った瞬間ある言葉が脳裏を過った。
「愚かなパラスの民は隠された歴史も己の正体も知らずに滅んでいくのだ」
R11の老人が遺した言葉だ。何か関係があるのか?完璧に思い出した訳では無いがこんなことを言っていた。
「とにかく、その戦争の中で当時の国王は『不死鳥』をなかなか呼び覚まそうとはしなかった。『不死鳥』の力を信用していなかったからよ」
「なら、国王無しで『不死鳥』を呼べば良かったんだ」
ウェドが話の腰を折って入ってきた。
「ああ、だが『不死鳥』を呼ぶ為には『国王の血』が必要だったんじゃ」
「なるほど〜」
「そして、ルパスは神から授かった力『科学』を使って、パラス各地での戦いを制し、ついに、あと少しで王城というところまで来てしまったんだ」
「国王は『不死鳥』を呼んだんですか?」
その人物は首を横に振った。
「いや、呼ばなかった」



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