昼下がり、香ばしいパンの匂いの中フランクはいつものように常連客のジョージおじいさんとたわいもない世間話をしていた。
-カランコロン-
「おっ、いらっしゃい。今日はどれにする?」
店に入ってきたのは親友のルイスだ。
だが、ルイスはいつものような元気が無く、目はどこか寂しさが沈んでいた。
「どうした?元気が無いじゃないか?」
ジョージおじいさんも心配して声をかける。
「フランク、ジョージおじいさん、俺戦場に行くことになった。」
ルイスはそう告げた。
フランクは驚いた。
「シンディには伝えたのか?」
シンディはフランクとルイスの幼なじみだ。
フランクはルイスがシンディに思いを寄せることも、シンディがルイスに心惹かれいることも知っていた。
だからこそ、気になったのだ。
「いや、まだだ。今から伝えに行くよ。」
そう言うとルイスはフランクたちに背を向け店を出ようとする。
「ルイス、神のご加護があらんことを」
ジョージおじいさんはそういい、顔の前で十字をきった。
「ありがとう。」
ルイスはそう言うと振り向きもせず、店を後にした。