車は海に向かっていた。
ユミはとても僕の手に届くような女性ではなかった。
僕は車の中で緊張しすぎて声もかけれなかった。
しばらくすると海に着いた。
ユミは僕に言った。
『着いたよ。こんな遅くに無理言ってゴメンね。』
『気にしなくていいですよ。そんな事よりどうしたんですか?』
『実は彼氏がいるんだけどこのまま付き合うのは良くないってわかってるんだけど、別れられないんだ。その事で今日もケンカしてさ。』
こんな美人なら彼氏がいない方がおかしい。
でも僕にはわからなかった。
高校生の僕は好きなら別れる必要なんてないじゃないか。
そう思った。
僕はユミに聞いた。
『なぜ別れないといけないの?好きなら別れなければいいんじゃないの?』
ユミは言いにくそうに言った。
『彼ね、奥さんも子供もいるんだ。もう一緒にいるのが辛いんだ。好きだから辛いんだ。』
恋愛経験の浅い僕はなんて言えばいいかわからなかった。
でも物事のいい、悪いていうのはわかる。
『確かに不倫ていうのはよくないね。向こうの奥さん子供にも悪いしね。それにユミさんなら他にいい人見つかるはずだよ。とても綺麗だし。』
目に涙を浮かべてこう言った。
『綺麗じゃないよ。汚い女だよ。不倫するような女だしね。』