そのキスから、何だか私と彼の距離はグンと縮まった。
チュッって、照れ臭くって仕方ないキスの後の。目を合わせれないようなくすぐったい、甘い感情はそれからしばらくの間私を浮足立たせた。
ふとした事でお互いの顔が近寄ると、どちらともなくキスをした。
チュッと、幸せの音がした。
お気づきの方もいるかもしれませんが。
私達は、チュッてキスしかしていません。
そのさらに上?の甘美なるキスがあるのを、この時の私は知りませんでした。
彼も私に合わせてくれていたようで。私が無理を しなくても良いように、気を配ってくれていたみたい。
何回も繰り広げられる、チュッというキスに。
何だか「あれ?」っと思い始めた私。
映画とかドラマとか。
マンガとかもだけど、キスって、何かもっと長くないか? と。
ん〜?あれ?何だろ、何か、もっと・・・こう、「ぶちゅぅ〜」というか ウチらと何やら違うような・・・。
で、雑誌だ、何だと買いあさって。情報収集に勤しみましたよ。
そしたら、すぐに解決しました。ガッチリわかりましたよ。
ディープキス?なる、舌を絡めるキスがあるとの事。衝撃的でしたよ。
チュッでもかなりドキドキなのに、そんなキスしたら私はどうなっちゃうのか。
心臓止まっちゃうんじゃないの?
大丈夫なの?そんなキスしちゃって。死んじゃわないの?大人って、平気なんだよね、スゴイわ〜なんて思っていた私。
文章や、何だかドラマなんかで見たって、わからない。実際にどうなのかしら。どうなのよ!
何事も経験しなくちゃ、わからない。みんなそうして大人になるわけだ。
なら、私だって、キスのちゃんと出来る大人になりたい。
って、何か変な勘違いをしていたわけです。
とにかく、彼とチュッではないキスをするにはどうしたら良いのか。
私は一人で試行錯誤していた。
検討違いな努力で空回りしていた私に、彼が「最近、何か悩んでるの?」と心配し始めたので、
正直焦ったりもしてたんだけど。
まさか、「濃〜いキス」がしたいとは言えず。
無駄に彼に気を遣わせてしまっていて。
とにかく、何だ、ムード作り?その、ピンクなムードっていうの?
それを醸し出すにはどうしたら良いやら。