その夜、順を寝かしつけた僕はクラスの連絡網を使って担任の先生に電話をかけた。
「もしもし、田中です」
担任の先生の名字は田中だ。
「もしもし、尾島と申します。息子の順がお世話になっております。」
「あ、順君のお父さん?こちらこそお世話になってます。どうかなさいましたか?」
僕は、家庭の事情と家庭訪問の事を説明した。すると、担任の先生は日曜日に来るということになった。
「すいません。無理を言ってしまって。入学式にも行けなくて、ダメな親ですね」
僕は仕事に追われ順の入学式にも行けなかった。生活の為に仕事を辞めるわけにもいかず、そこに僕はいつもジレンマを感じていた
「そんな事ないですよ!順君はいつもお父さんの事自慢するように、私に話してくれますよ!立派なお父さんだと思います」
先生の声のハツラツさに僕は少しあっとうされた
「そ、そうなんですか、それはお恥ずかしいです。」
「はい。ですから、自信をお持ちになって下さい!それでは、日曜日にお伺い致しますのでよろしくお願いします」
そう言うと先生は電話を切った。
その日は久しぶりに寝付きが悪かった。
順の担任の田中先生、声大きかったな。