「問題?」
「うん、王子が石盤の間に行くことを拒絶したんだ。それどころか王子は自分の兵を呼んで三人の若者を殺そうとしたの」
「なぜだ?」
「何故か。それは分からん」
パールが二人の話しに割って入った。
「多分、その王子も絶望してたんじゃないの」
「ああ、多分そうだろうな」
タクトは疑問に思った。一国の主であろう者が敵の圧倒的な勢力を見ただけで怖じ気づいて、『不死鳥』を復活させないというようなことがあるのだろうか。自分なら反対に敵が圧倒的な勢力ならばすぐに『不死鳥』を復活させるだろうと考えたからだ。
「とにかく、若者たちは兵たちの追撃をかわしながら、王子を無理矢理石盤の間へ連れて行ったんだ。そして、『木彫りの不死鳥』と『王の血』を使って『不死鳥』を復活させ、パラスは自国を防衛を成功し、戦争は終わったの」
ミュークは話終わると椅子の背凭れに凭れた。
「ちょーっと待った。おい、それで『勇者の血』はどうなってんだ?」
タクトもパールも話に聞き入ってしまっていて、完全に忘れてしまっていたことだ。
「そうそう、忘れてた」
「忘れてたじゃねぇよ。あーあ、結局今までの時間は無駄だったって訳かー」
ウェドはウェドは疲れた様に背凭れに凭れ掛かった。外を見るともう暗かった。
「いいや、それは違うぞ。この話にはまだ続きがあっての。その後、王と王子の度重なる醜態を見兼ねた女神様が、再び地上に降り立たれたのだ」
「と、いうことは、女神は二回地上に降り立たった、という訳ですか?」
タクトが驚きながら聞いた。
「そう、その通りだ。そして、女神は三人の若者の勇気を讃え、三人の若者、並びに、その子孫の血を『勇者の血』とし、『不死鳥』の復活の新たな条件とした」
「それじゃあ、どうして女神は『王の血』を復活の条件から外さなかったんですか?」
「古よりの条件だったため、女神でもそれを覆すことは出来なかった」
「へぇ〜、神にも不可能はあるんだな」
ウェドが本当に感心した声を漏らした。
「それじゃあ、これからやらなければならないことは、その若者たちの子孫を見つけ出し、王様に協力を煽って、さらに、『木彫りの不死鳥』のパーツを全て集める、と」
「限りなく不可能に近いな」
ウェドが挑発的な態度を見せた。
「うん。でも、不可能ではない」