「はぁ〜。それでわざわざこんな島まできたのかね。」ズズ…とお茶を啜る音がした。
「ええ…まぁ。」
この日、四人はリリーラに案内されてクラスの町長に会いに来ていた。
町長の家の前まで来るとリリーラは『私、レンデルと約束があるから』といってそそくさ帰ってしまった。
「……それで?」
「いや、だから、三種の神器について知ってることがあれば教えてくれないかなーと。」
「うむ。」
町長は頷いた。
「わしもよう知らん。」
……………は?
「あの、今なんて?」
「だから、わしもよう知らんのだ。」
勿論、これにはランスォールの他、ラウフやシーラまでもがキレた。
「はぁぁあぁあ!?」
「うむ。それがな、伝説を紡ぐ島として称されていたのはこの島の中心の時計塔のためなのじゃ。」
「時計塔…?」
確かにクラスに来る途中、遠くに塔らしきものがチラリと見えた。
きっとあれがその時計塔だろう。
「その塔に住む者が、世界の伝説を紡いでいるのじゃ。」
「じゃあ、その時計塔に行けばいいんですね?」
町長は少し考えるように上を向いてから言った。
「まぁ…そうなるかの?」
出されたお茶菓子を綺麗に平らげ町長の家を出た。
「あやつは気難しい奴じゃからなぁ…。
機嫌が悪くなければよいのじゃが…」
去り行く四人を窓から見送りながら町長はそんなことを呟いた。