呼び出し音が鳴る。
1回、2回、3回、4回、5回…
切ってしまった。
車のエンジンをかけて走り出す。
その瞬間、電話が鳴った。
慌てて思わず携帯を落っことした。
急いで拾った。
『もしもし』緊張で声が震える。
『ごめんな、今電話くれたのに。』
低めの声、想像してたよりずっと。
『あっ…ううん、何か緊張してしまって。』
『俺も緊張して…さっき電話鳴った時慌てて落としてん。必死なって探したわ。』
『あはははは』
思わず吹き出した。私と同じだ。
『仕事終わったん?』
『あっ、はい。今日は早上がりになって。』
『そうなんや。俺はもうすぐ徳島市内に入るわ。案外近くかな?』
『どっどうかなぁ。』
もし偶然会ったら…いや、いくら狭い徳島でもそれは無いか。
『車何乗ってる言ってたっけ?』
『私はパンダ、紺色ののパンダです。』
『やったよなぁ!やっぱり…バックミラー見て。』
言われた通りバックミラーを見た。
携帯を持って運転している男の人。。。
『えっ?えぇっ?!うそやあーん!!』