四日目、彼がまた私の病室にやってきた。
「……落ち着いた?」
「ねぇ。今日の空ってどんな色してる??」
私は唐突に聞いた。
彼が何を悟ったかは知らないが、
私の手を握っている手を震わせて、
涙を一粒こぼした。
そして、彼はいとおしそうに話し始めた。
“今日はよく晴れていてさ、いつか海に行った時のような空だよ。
真っ青で、まるで絵に書いたような……。
太陽がさ、これでもかっていうくらいに光輝いてさ。
……み、見せてあげられないのが、もどかしいよっ……!!”
ねぇ、泣かないで。
貴方は悪くないよ。
顔は見えないけど、
きっとあなたの事だから、
鼻を真っ赤にして泣いているんでしょう??
みっともないって笑われちゃうよ。
目なんか見えなくったって、
貴方が居るだけで幸せだよ。。
貴方の笑顔が見れないのは、少し寂しいけど、
貴方が幸せなら、それでいい。
貴方と出逢えて、
貴方に愛される事が出来た私は、
きっと世界一の幸せ者です。
今までも、今も、これからもずっと愛してる。
ありふれた恋の歌のように、
愛し愛されて……。
でもね、ずっと愛され続ける事は無理だから。
私に、
ずっと貴方の重石になってまで生き続ける勇気なんて無いから。
だからね、ここら辺でサヨナラしようよ。
ありふれた恋の歌もね、ハッピーエンドとは、限らないんだよ。
愛をくれた貴方に、
今まで“ありがとう”。。
私はそうメッセージを遺して、
屋上から、空へ羽ばたいた。
貴方は、私が居なくなって、少しは泣いてくれたカナ??
私が居ると、きっと貴方は私に縛り付けられてしまうから。
あんなに優しい貴方を死ぬまで束縛するなんて、私には出来ないよ。
どうか幸せになってね??
新しい恋を見つけて、私の事なんて忘れて、普通に生きて??
でもね、一年に一度。命日の日だけ、私に祈って。。
ごめんね。
ありがとう。
さようなら。
〜ありふれた恋の歌〜
?Fin?