ありふれた恋の歌 ?2?

空緒 夕妃  2008-10-28投稿
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四日目、彼がまた私の病室にやってきた。

「……落ち着いた?」

「ねぇ。今日の空ってどんな色してる??」

私は唐突に聞いた。

彼が何を悟ったかは知らないが、
私の手を握っている手を震わせて、
涙を一粒こぼした。

そして、彼はいとおしそうに話し始めた。



“今日はよく晴れていてさ、いつか海に行った時のような空だよ。
真っ青で、まるで絵に書いたような……。
太陽がさ、これでもかっていうくらいに光輝いてさ。
……み、見せてあげられないのが、もどかしいよっ……!!”



ねぇ、泣かないで。

貴方は悪くないよ。

顔は見えないけど、
きっとあなたの事だから、
鼻を真っ赤にして泣いているんでしょう??

みっともないって笑われちゃうよ。

目なんか見えなくったって、
貴方が居るだけで幸せだよ。。

貴方の笑顔が見れないのは、少し寂しいけど、
貴方が幸せなら、それでいい。

貴方と出逢えて、
貴方に愛される事が出来た私は、
きっと世界一の幸せ者です。

今までも、今も、これからもずっと愛してる。

ありふれた恋の歌のように、
愛し愛されて……。

でもね、ずっと愛され続ける事は無理だから。

私に、
ずっと貴方の重石になってまで生き続ける勇気なんて無いから。

だからね、ここら辺でサヨナラしようよ。

ありふれた恋の歌もね、ハッピーエンドとは、限らないんだよ。

愛をくれた貴方に、
今まで“ありがとう”。。





私はそうメッセージを遺して、
屋上から、空へ羽ばたいた。





貴方は、私が居なくなって、少しは泣いてくれたカナ??

私が居ると、きっと貴方は私に縛り付けられてしまうから。

あんなに優しい貴方を死ぬまで束縛するなんて、私には出来ないよ。

どうか幸せになってね??

新しい恋を見つけて、私の事なんて忘れて、普通に生きて??

でもね、一年に一度。命日の日だけ、私に祈って。。



ごめんね。

ありがとう。

さようなら。





〜ありふれた恋の歌〜
?Fin?



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