「おっ!ま〜た見事にやったなぁ」
と、板金やの幸さん。
「どれ位かかるっすか?」
と、俺。
幸「ん、最近、クラッチ滑り気味なんよねぇ」
俺「いっすよ、そんなもんなら、構いませんよ」
と、そこへ、塗装屋の西が口をはさむ。
「あと、麗チャンとこ、喰い放題、飲み放題♪」
幸「おっ!いいねぇ」
(そっちの方が高ぇじゃねえか!)と思いながらも、
俺「…ちぇっ、高くついたぜぃ」
そこへ、もう一人、経理の由紀さんが、
由「私も、お忘れなく!」
と来た。
俺は、アメ車のレストア(動かない車を買って来て、動くようにして売り飛ばす)工場のエンジン、ミッションと、足廻りを修理している。前記の人達は、工場の仲間だ。他にもいるが、連んでいるのは、このメンバーが主にってとこだ。
昼飯はそれぞれだが、幸さん、西、俺は仕出し弁当を天引きで取って、天気の良い日は、外で食う。そこへ、いつも食堂でお茶と味噌汁を入れて、由紀さんが来る。
今日は、天気が良かった、運は悪いようだったが…。
「あ〜れ〜?かずさん!こんなとこで、ご飯たべてる〜♪」
ハッ!と、声のする方を見ると、智子がいた。俺は、今朝の事を思い出し、どぎまぎしながら、
「な、何してんだ!こんな所で!」
家のアパートから駅までは、工場とは反対方向だし、何故かリードの先には、ダッシュが居た。
「何よ〜、飯代って書いてあったから、これからお夕飯の買い物しよっかな〜って。ね〜ダッシュ〜♪」
西「ドユ コ ト デス カ ー。かず、言い訳してみろ!」
由「あら〜、ダッシュ〜、大きくなったわね〜。倉田由紀です。よろしくね」