* * * * * *
『――で、2年生は中だるみの学年と言われているが、
受験戦争は、もう既に始まっている。
3年生になってから焦っても遅いのだと言う事を、心しておくように。』
新学年になって早々、
渋川の長い話を延々と聞かされていた――
はぁ‥‥長いなぁ‥‥‥。
早く終わらないかな‥‥‥。
聖人の席は、
前から3番目のあたしの席から、3つ左の窓側。
ちらっ――
ドキッッ☆
聖人、こっち見た!!
そして――
バチンッッ☆
ウィンクされた♪
ドキドキドキドキ――
『ほら、そこ!!木下!!何をコソコソしている?!』
やば‥‥。
渋川に見つかっちゃった。
『す、すみません。』
クスクスクス――
“木下さん、北岡君の方ばっか見てるからよ。”
“アツイわよねぇ。”
ヒソヒソヒソ――\r
“でもよぉ‥‥この2人と同じクラスになったってコトは、これから先が思いやられんな。”
“しっ!!渋川こっち見てるわよ!!”
新しいクラスメイト達の心無い一言が、
あたしの胸にチクチクと突き刺さる――
気にしない気にしない‥‥‥。
こんなのもう、慣れてる筈‥‥‥。
ちらっ――
思わず聖人の方を見たあたし。
あ‥‥聖人、またこっち見てる。
“キ・ニ・ス・ン・ナ!!”
あはっ♪
口の動きが、そう言ってた。
渋川の長い話が終わると同時に、タイミングよくチャイムが鳴った。
キンコンカンコーン〜〜♪♪♪
『では、今日はこれまで――』
はぁ‥‥やっと終わったぁ〜〜っっ!!
『奈央。早く帰ろうぜ。』
『うん。あ‥‥聖人。ちょっと待っててもらえるかな‥‥。』
――少しだけの勇気を――
神様――
今のあたしに分けてください。
ユカの座る席に足が自然に向かって行く自分に、
後悔だけはしたくないから――