私は別に祖父の趣味と思いながらカメラを構えた。
撮る瞬間、二人は私に聞こえない声で何かを話していたが、気にせずシャッターを押した。
次に私が祖父と並んで撮ってもらおうとした時、私にこう言ってきた。
「目の前の壁に負けるな」私は、その言葉の意味を聞こうとしたが、桜がシャッターを押すのを見ていたので、聞く事はできなかった。撮り終わった時、私は桜に、
「何話してたの?」
と、先程の聞こえない会話を聞いてみたが、
「おじいさんの独り言」
そう言って、流されてしまった。
その後は、二人で桜の木をしばらく見ていた。
「毎年桜は咲くんだね?」呟く彼女に、
「春の中で一番目に付く物だからね」
桜を見ながら言う私に、
「大和君も私の事、ずっと思ってくれる?」
私の顔をじっと見つめる桜に、
「桜がこの桜の木のように、毎日咲いているような日を過ごせるように、オレは桜を思っているよ」
何を言っているのか分からなくなっていたが、それでも桜は、