そんなオレらも小学生になり、小学4年の時地元の少年野球チームに入った。
最初はつまらないボール拾いだのをさせられていたが、肩の強かったオレは監督にすぐ目をつけられ、ピッチャーをしてみろと言われた。
初めてのピッチャー、初めてのマウンド。みんなが見つめる中、オレは腕を振りかぶり思い切り腕を振りぬいた。
ガツッ!!
その球はみんなが思っていたよりも速く、キャッチャーは捕ることができなかった。
その後何回投げても同じ結果になり、皆がざわつき始めた。そのとき
「僕捕れるよ」
昇はあの有無を言わせない笑顔で監督に言うと、キャッチャーからミットを借りオレの前に座った。
オレはまた同じように昇のミットめがけてボールを投げ込んだ。
……バシッ!!!
その時の静寂とミットの音。
投げた球がミットに入る、なんともいえない感情。
言葉では言い表わせないが、ピッチャーという場所。
いろんなものが込み上げて来たことは今でも鮮明に覚えている。
これがオレと昇が初めてバッテリーになった瞬間だった。