ためらいはなかった。
バーンッ!
青年を撃った。倒れる青年。気が付くと手が震えていた。不思議と人を撃った恐怖心よりも達成感の方が大きかった。俺が響を守った。未来を変えたんだ。俺は倒れた青年を見下ろす。
クスクス。
そこでどこからか笑い声が聞こえた。声の正体はすぐわかった。あの男の子だ。
「またあったね。楽しかったよ」
話しかけてきた。
「お前が誰だか知らないが未来は俺が変えた」
興奮しているのか声が裏返った。
ハハハハ!
堪えきれないように男の子は笑った。
「何が面白い」
「いやね君が撃った人、君の弟さんだから」
一瞬何を言っているかわからなかった。興奮が一気に下がる。倒れている青年をよくみてみる。
響だ。
倒れている青年は響だった。そんな!とゆうことは俺が響を殺した?いやしかし響は俺の隣にいるはず。隣をみてみると隣にいたのは五才くらいの男の子だった。俺をみて笑っている。
「そんな!俺は響を守ったんだ。こんなこと…こんなこと…」
「これが本当の未来だ。これが現実だ」
男の子の声は落ち着いていた。俺の事をじっとみている。
周りの人々が俺をみてくる。目の前の殺人犯に怯えていた。俺は頭が混乱していた。
みるな!
みるな!
俺をみるなあああ!
発作的に拳銃を自分の頭に向けて引き金を引いた…。
俺はいったい何なのかわかった。
俺は普通の人間だ。
未来なんてみれない。
ましてや変えられるはずもない。
引き金を引いたた俺をみて男の子は言った。
「未来は変えられるよ。僕が変えるんだ。僕しかできないけど」
また男の子は笑った。
「楽しかったよ。バイバイ和樹君」
寒い。寒い。眠気もする。
俺はゆっくりと目を閉じた。