「…あ、そうか。この事もあって、姉ちゃん達に何も言うなって言ってたのか。宰相さんは」
「その通りだと思うわ。そして、もう一。先生達をこの城に置いておいた理由として、連行する時に、先生達がこの城にいる事を、ロザラムにアピールする為ではないかと考えているの。どうかしら？」
「なるほど…凄いな、リリー、そこまで考えつくなんて」
ロイは感心したように、何度も頷いた。
「別に、大した事じゃないわよ」
「いやいや、そんな事無いって…でも、何でその事を僕に？」
「え？…まあ、その…この中では一番冷静な思考が出来るんじゃないかって、思ったからよ」
リリーはそう言うと、ルイスの方を見て一つ小さくため息をついた。
「ルイスは先生達を信じきっているみたいだったからね…」
「僕だって、姉ちゃん達を信じたいさ。…でも、大切だと思う人の為なら何でも出来るっていう人だっているし…」
ロイは少し陰のある表情で、遠くを見るような目をしながら、呟くように言った。
「…ロイ？」
リリーはその表情を見て、心配そうな顔をしながら、呼びかけた。
「…ああ、ごめん、暗い雰囲気になってしまったね。まあ、とにかく、今は事の推移を見守っていくしかないよ」
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