私を呼ぶ。
「王女様」
違う。
「姫様」
違う。
「ロラン様」
初めてそう言って呼んだのはアセンズだった。
私は大泣きした。
暗い穴からやっと見つけてくれた気がした。
ここに居ると教えてくれた気がした。
やっと自分の足で、彼女の大地に立つことが出来た。
この国の人たちを見る事が出来た。
好きにはなれない。
だけど、
大切なモノだと分かった。
守らなければいけないモノ。
守りたいモノ。
父は
王はいつも国を眺めていた。
愛しそうに。
それが嫌だった。
でも、
それが分かるようになった。
アセンズが教えてくれた。
この国は私の故郷。
帰るべき
私の居場所。