「ママ〜、怖い。
声がするの。」
3歳になる娘は、毎晩寝る前にこう言っては一緒に寝たいと部屋へやって来る。
原因は分っていた。
去年生まれた次女が原因。
所謂、赤ちゃんがえり。
(大丈夫よ。お部屋でいい子にネンネして。)
そう言おうとすると先に旦那が
「大丈夫だよ。こっちおいで。」
と娘をベットの中へ招き入れる。
(まったく。甘やかさないでよ…。)
そう思いつつ、安心して眠りにつこうとしている我が子の顔はとても愛しい。
ふっくらとした微へ手を伸ばす。
「いやぁぁぁぁぁぁ〜」
目を大きく見開き、恐ろしい物を見たかの様に震えながら娘は泣き出した。
あまりの事に驚いていると、旦那が娘を優しく宥める。
隣りのベビーベットでは娘の泣き声に驚いた次女が泣き出している。
私は次女の頭を撫でてあやす。
「急にどうした?」
旦那が娘に聞く。
娘は旦那にしがみつきながら言った。
「ママがね…ママが…死んじゃったのに来るの。英美に触ろうとするの。怖いの。」
私は金槌で頭を叩かれた様に身体が痺れていた。
死んだ…。
私…死んじゃったんだ。
「英美、大丈夫。ママはお星様になって英美を見守ってくれてるって教えただろ?
それにしても祐実はさっきから何を見て笑ってるんだ?」